竜鳴き谷へようこそ「エリゼー村料理の鉄人・後編」

2035-08-25

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オフセット A5 42P 200円

竜鳴き谷シリーズ、第五巻
料理大会に沸きあがるエリゼー村。果たして優勝の女神は誰に微笑むのか? 
プティルに近づく謎の男の正体とは?

↓冒頭を読む↓
1 魔法商品に気をつけろ!

 ここはお馴染みのエリゼー村。ただいま料理大会を筆頭に、お祭りの真っ最中だったりする。そして、大会が開催されている広場や駅、その周辺では、谷を渡ってきた商人や旅芸人、歌姫達がここぞとばかりにエリゼー村を盛り上げていた。
 そんな、谷を渡ってきた者達の中の一人、冒険商人のニーナは、とある魔法都市で仕入れた、絶対に割れない魔法のガラス『タフガラス』を売りさばこうと、リンツ相手に商いの真っ最中だった。
「このガラスは普通のガラスとは全く違うんですよ。実は、絶対に割れないように特別な強化魔法を組み込んであるんです」
「へぇー、すごいな。でもそれ本当なのかい?」
 怪しい。胡散臭そうにニーナを見るリンツ。しかしそれを予想していたのか、ニーナはおもむろに一枚のガラスを壁に立てかけると、カナヅチを手にした。
「もちろんです。それではこのタフガラスの強度を試してみましょう」
 自信満々、タフガラスに向かってカナヅチを放り投げるニーナ。

……ガッシャァン!!

「………………」
「………そんなはずは?」
 目の前に広がるありえない惨状に、ニーナはオロオロしながらも、もう一度タフガラスを壁に立てかける。
「今度こそ!」

……ガッシャァン!!

「次こそっ!」

……ガッシャァン!!

「しからばっ!!」

……ガッシャァァァン!!

「な、なんでみんな割れちゃうのよ。どうして、どうしてなのぉ~」
 リンツの凍てつく視線に背中を突き刺されながら、今にも泣き出しそうな表情で、ニーナはタフガラスの取扱説明書を読み直した。
「ぐすっ……。ええっと、魔法の効果は約三十日程度で消滅してしまいます。……あれ? ふえええん! 魔法の効果もう切れちゃってるよう!!」
 空中で何かを数える仕草をしたかと思うと、突然泣き出すニーナ。
「あの魔法使いのジジイッ!」
 突然泣きやんだと思うと、ニーナは説明書をビリビリに破り捨て、身支度を始めた。
「許さない……。ぜっったいに許さないんだからあっ!!」
「お、おい……」
 リンツの事などすっかり忘れて、決意に燃えるニーナ。どうやら不良品をつかまされたらしい。魔法使いのジジイを呪って、……魔法都市へ再び旅立つ。

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